その「褒め方」伝わってる？子どもの効果的な褒め方とは

保育士お役立ち情報
2021/06/21

保育士は、沢山の人間関係の中で仕事をしています。子どもを育てるとき、後輩保育士を育てるとき、保護者と良い関係を築くきっかけをつくるときなど、相手との信頼関係を築くときに大切にしたいのが「褒め方」。人間関係において、「褒め方」はとても大切です。今日は、効果的に褒めるためのポイントをお話しします。

いくら褒めても、伝わらなければ意味がない

子どもを褒めて育てることは、子どもの自信につながり、自己肯定感を高めます。子どもの自己肯定感を高めることは、保育士の大きな課題なので、日々、様々なかかわりを工夫されていると思います。ただ、注意したいのが、保育中よく使いがちな「おりこうね」「上手ね」は、自己肯定感を高めることを目指した褒め方としては言葉足らずだということです。この褒め方だと、何が「おりこう」で、何が「上手」なのか正しく伝わらないからです。保育士が子ども褒めるとき気を付けなければならないのは一番言いたいことを、相手にきちんと伝えることなのです。

まずは、子どもを認めることから

「褒める」前に必ずしてほしいことは、「認める」ことです。「認める」とは、子どもの姿をあるがままに受け入れること。相手の言葉、行動をそのまま受け止め、否定、批判、非難、評価しないということです。自分の今の状態をありのままに認めてもらえた子どもは、保育士が自分の全てを受け止めてくれていると感じることでしょう。言葉や行動を受け止めることは、その子の気持ちに目を向けた寄り添いの姿勢でもあるからです。
気持ちに寄り添ってもらえることで、子どもは身構えることなく、保育士の話を聞けるようになります。その状態を作ることができれば、「褒める」が伝わりやすくなるのです。相手を認めるということは、コミュニケーションをとる上で大切なことです。

保育士が気をつけたい、褒め方のポイント

結果ではなく経過や努力を褒める

保育においては、結果がすべてではないでしょう。様々な経験を通して、努力したことを褒められた子どもは頑張る力を培うことができます。結果がどうであれ、自分の頑張りを認めてくれる保育士がいてくれることは、子どもたちのチャレンジ精神の源になっていきます。褒めるときは、結果ではなく今までの過程や努力を褒めるようにしましょう。

自分の頑張りに気づけるように褒める

せっかく結果ではなく過程を褒めたとしても、子どもに伝わらなければもったいないですよね。褒めるときは、子どもが頑張ったことを自覚できるような声かけをしましょう。頑張った事実に目を向け、褒めてもらえた子どもは、自信が持てるようになります。保育士に褒められたことで、また頑張ろうという気持ちになれるでしょう。

行動を具体的に褒める

今後、子どもを具体的に褒めるときに意識してもらいたいのは、褒める事柄を具体的に言葉にすることです。ただ、「頑張ったね。」「かっこいいね。」というだけでは不十分で、もっと具体的に言葉にすることが大切です。「転んだけど、最後まで頑張って走ることができたね。」「小さい組の友達のお世話ができるって、かっこいいね。」という具合です。自分の行動を褒められ、努力を認めてもらえた子どもは、自分がどう行動することが良いのかを学ぶことができます。何度も褒められることで、成功体験を積み、やる気が高まり、困難な出来事に対してもそれを乗り越えようとする意欲が持てる子どもに育っていくでしょう。

最後に

このように、褒めるときの3つのポイントを意識して子どもと関わることで、信頼関係は築きやすくなります。子育てや保育において、子どもを褒めて伸ばすことは子どもの自己肯定感を高めたり、自尊心を育んだりする良い効果があります。そして、子どもの言動を否定、批判、非難、評価せず、受け止めることは、子どもの安心感につながります。
このようなかかわりをしてもらいながら幼児期を過ごすことができた子どもは、自分が経験して学んできた人とのかかわりを、当たり前のこととして自分の人間関係に活かしていくことができます。コミュニケーションが希薄になっている現代社会で、保育士との関係で学んだコミュニケーションの方法が子どものよりより人間関係を作っていく土台になっていくことでしょう。

筆者プロフィール

野村恵里（ colorful comunications代表）
現場経験20年の元公立保育園保育士。退職後、保育士養成校の専任講師として勤務。保育関係におけるアンガーマネジメント講演を実施。2017年6月、保育士のためのアンガーマネジメント（仮名）：中央法規：を出版予定。