保育士は大変なの?保育士特有の大変なことを事例で紹介!
- 保育士のホンネ
- 2021/03/10
保育士の業務は、子どもとのふれあいなどやりがいも多いのですが、保育士ならではの大変さもあります。保育士特有の大変なことについて、具体例と対策について紹介します。
保育士は大変!みんな辞めたいと思っているって本当?
世間のイメージで「保育士は大変」が定着!
人から聞かれて「保育士をしている」と話すと、大変な仕事だねと言われた経験はないでしょうか。私は知人からよくそう言われていました。「よく辞めないね」とあからさまに言われたこともあります。
なぜ、世間のイメージで「保育士=大変」が定着しているのでしょうか。その理由の一つとして、ある時期、待機児童問題で保育園がマスコミに注目されていたことが挙げられます。
そうした報道では、保育士の職場を過酷な環境としてクローズアップすることが多くありました。それを見た人たちが「保育士=大変」と思っていることも多いようです。
確かに、保育士の業務はご存知の通り、決して楽ではありません。精神的にも肉体的にもハードなことも多く、私も「もうやめようかな」と何度か思いました。
実は保育士の離職率は、全業種よりも低い!?
保育士という仕事は、一般の人がイメージするように本当に大変、それゆえすぐにやめていく人が多いのでしょうか。そのあたりを理解するために、保育士の離職率のデータを見てみたいと思います。
厚生労働省のデータより
保育士の離職率 10.3%
内訳:公営 7.1%、私営 12.0%
※参考:第3回保育士等確保対策検討会 参考資料(厚生労働省/平成27年度)
公営の保育所の方が離職率が低い理由は、給与が高いなど待遇もよく、勤続年数の高い保育士が多いためだと思われます。
厚生労働省が発表している「雇用動向調査結果」によると、同時期の全業種の離職率の平均は15.0%でした。よって、保育士はそれより低いことがわかります。さらに産業別では、保育士が含まれる「医療・福祉」の離職率は14.8%で保育士はそれよりも低い数値です。
つまり、世間のイメージと異なり保育士の離職率は特別高いわけではないようです。
保育士は何が大変?
保育士特有の大変さがある!
保育士の離職率は高くはないのですが、その業務には特有の大変なことも数多くあります。もちろん他職種でも同様に大変なことはあり、不安や悩みを抱えながらみなさん仕事をしています。なので、保育士だけが特別というわけではありません。
ただし「保育士特有の大変さ」というものがあるといったら、腑に落ちる方も多いかもしれません。
そうした「保育士特有の大変さ」がどのようなもので、どうしたらそれが少しでも改善していけるのか、私の経験も交えて、そのあたりを少し整理していきたいと思います。
保育士特有の大変なこと【4選】
子どもたちへの対応が大変!
世間には「保育士は子どもと遊んでいるだけ」という見方をしている人もいるようです。しかし、保育士は遊びだけでなく食事や排泄、着替えや睡眠など、子どもの健全な育成のために対応しています。その中でも大変なこととして、子どもたちへの声掛けが挙げられることが多いようです。
私も経験しましたが、いくら声掛けをしても遊具から降りてこない子どもたちを相手に、新任時代は途方に暮れたりもしました。ただ、これは保育士としての経験を積むことで解決していきます。次第に声掛けの正解がわかってくるものです。
子どもたちへの対応の悩みの多くは、信頼関係の構築がカギのことが多いです。焦らずに時間をかけて子どもと関わっていくことが大切になってきます。
職場の人間関係が大変!
厚生労働省の「保育士の現状と主な取組」(令和2年)の資料では、保育士の退職理由は「人間関係」がトップです。なかでも、女性の多い職場ならではの人間関係に悩んで退職していくことが多いようです。
私も新任当時、先輩たちが特定の後輩を悪く言う姿を見てきました。私は職場では珍しい男性だったので例外的な立場でしたが、見ていて気持ちのいいものではありませんでした。
中には保育園内に独特の派閥があり、その中で苦しんでいる保育士もいるようです。
こうした悩みはそれぞれ固有のため処方箋はありませんが、同じ苦労を乗り越えるなかで関係がうまくいくということもあります。
例えば、行事などで保育士同士が力を合わせる機会で一丸となり関係性が変わっていくこともあります。そうした機会を自分からつくっていくことも、人間関係改善のためにできることではないでしょうか。
長時間労働のわりに給与が安くて大変!
保育士は子どもの保育以外にもたくさんの業務があります。保育計画の策定や行事、保護者対応、掃除など多種多様な内容です。その大変さに給与が見合わないと考えてもおかしくありません。 一方で、保育士の処遇改善は国家戦略にもなっていて徐々に図られています。
例えば、平均年収は2015年に323万3,400円だったものが年々増えて、2019年には363万4,600円にまでなっています。
今後も保育士の処遇の改善は進んでいくだろうことが予想されています。即断しないほうがいいかもしれません。
また働き方改革の考え方が保育現場にも浸透してきており、労働の質が変わってきています。例えば、残業時間の上限が定められたり、有給休暇取得が義務化されたりするなど、労働環境が以前よりも改善されてきています。
保護者対応が大変!
保育士業務の大きなものとして「保護者対応」があります。ここでのトラブルが不安や悩みに繋がることもよくあります。
中にはモンスターペアレントと呼ばれるような保護者の対応をしなくてはならないこともあります。
保護者対応の大切なポイントはどう信頼関係を築いていくかですが、これは日々の取り組みが重要としかいえません。大事なのは、普段から子どもの様子をしっかりと伝えて、コミュニケーションを図ることです。
保護者対応のコツは「聞き上手になること」だと、私は教わりました。短い時間で用件を伝えたくなるのが保育士ですが、保護者からの言葉を待ち、遮らずに聞き出すのです。そうしたコミュニケーションは心理学的な見地からも保護者からの信頼を引き出しやすいようです。
信頼関係を築くことができていれば、多少の失敗や誤解なら大きなトラブルにはつながりにくいものです。
まとめ
保育士には特有の大変なことがあり、それぞれが悩みながら仕事を続けていることと思います。日々の保育の中で疲れてしまい、「保育士を辞めようか」と感じる局面もあると思います。そうした時には、自分の周りにいる、長く保育士を続けている尊敬できる先輩の姿を思い浮かべてみることをおすすめします。
身近にいなければ、雑誌やWEBで見た人でも構いません。
私にはそういう先輩がいたので、それを原動力にしていきました。そうしたロールモデルを自分の中に持っておくことも保育士生活を続けていくのに役に立ちます。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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