怒りを数値化して、「若手保育士に対するイラッ」に対処しよう!

私は20年間保育の現場で仕事をしてきましたが、保育士同士の連携がとれる関係がとても大切だと身にしみて感じてきました。連携の良し悪しで、保育の質は随分変わってきます。ペアを組んだ相手が若手の保育士であればなおさらです。経験の浅い保育士をどれだけうまく保育の軌道に乗せるかは、先輩保育士であるあなたに掛かっているのです。
とはいえ、若手保育士に対してイラッとくることも多いのではないでしょうか?そこで今回は、あなたも若手もお互いが気持ちよく保育を進めていくために、知っておくと得をする人間関係を滑らかにする考え方についてご紹介したいと思います。

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イラッとするポイントを自分で知っておく

あなたが若手保育士に対してイラッとするのはどんなことでしょうか?若手保育士の保育の未熟さか、書類の書き方なのか。汚れ物の洗い方、掃除の仕方、壁面作りについてかもしれません。そして、イラッとした時の怒りの強さはどれくらいでしょうか?きっと、あなたなりのイラッとポイントがあるはずです。まずは、それを視覚化することであなたがどんなことにイラッとしやすいのかを見つける作業をしていきましょう。
視覚化するには、イラッと具合に数字をつけていく方法があります。私たちは目に見えないものに尺度をつけることによって、理解できたり整理できたりするようになります。例えば、明日の天気はどうやって確認しますか?きっとあなたは天気予報の降水確率を見るのではないでしょうか?明日の降水確率は90%です、と言われれば確実に雨が降ることがわかります。明日の天気は今の段階では見えないのに、数字をつけることによって見えるようになるのです。不思議ですよね。
これからあなたが自分のイラッとポイントを知るためにしなければならないことは、自分のイラッとを視覚化するということです。そのために今後、あなたが若手保育士にイラッとする出来事があるたびに、その出来事に対してイラッとレベルをつけることを習慣づけていきましょう。 

イラッとレベルで怒りを数値化する

レベル0〜10の10段階でイラッと度を数値化しましょう。0は穏やか、10はマックスで怒っている状態です。レベル0〜3は『軽くイラッとする程度』レベル4〜7は、『まあまあ強めに怒っている』レベル8〜10は、『ものすごく怒っている』と考えて下さい。自分基準なので、どんな理由や度数でも構いません。
例えば私が数値化するとしたら、『保育の未熟さ⇒レベル2』、『書類の書き方⇒レベル7』、『汚れ物の洗い方⇒レベル5』、『掃除の仕方⇒レベル5』、『壁面作りについて⇒レベル1』といった具合です。書類の書き方についてレベル7と高い数値をつけているので「計画性のないその場しのぎの書類や、期限を守れない書き方に対してまあまあ強めに怒っているんだな」、一方壁面についてはレベル1なので「ちょっとイラッとするくらいで怒るほどのことではないな」と気づくことができますね。

イラッとレベルを整理する

次のステップは、イラッとレベルのついたメモを書き溜めることです。ポケットにメモを入れておき、イラッとすることがあったらすぐにメモを取るようにしましょう。その際、『イラッとした出来事』と『イラッとレベル』の2点を記載してください。ある程度メモがたまったら、それらを整理していきましょう。
レベル0〜3の出来事・レベル4〜7の出来事・レベル8〜10の出来事の3つに分けてください。レベル0〜3はたいして怒るほどのことではないと判断した出来事なので、その程度のこととして心を動かされない、受け流すようにしましょう。レベル4〜7に関しては、強めに怒っている出来事ですから、相手に伝える選択肢もありです。ただし、伝え方には要注意。「私メッセージ」がおススメです。(「私メッセージ」についてはこちら⇒「子ども達の感情を育てる、2つのステップ」)子どもへの伝え方も、若手保育士への伝え方も大切にしたいポイントは同じです。最後にレベル8〜10の出来事ですが、これに関してはものすごく怒っているわけですから、あなたが怒っているということを率直に伝えれば良いのです。ここでも同じように伝え方は注意してくださいね。

このように、数値化したあなたのイラッとポイントを整理することであなたが若手保育士のどんなところにイラッときているのか一目瞭然です。今までは、イラッとのレベルが曖昧だったために、あなたも若手保育士もどのように修正していけばよいのかわからなかったはずです。 これからは、レベル8〜10に対しては注意レベル4〜7については必要あれば指導すれば良いのです。それ以外の数値が低い出来事に対しては、見逃してあげられる余裕ができるかもしれませんよ。

イラッとレベルを安定させる

イラッとレベル付けが習慣付いたら、次にやっていただきたいのはイラッとレベルを安定させる努力です。要するに、若手保育士の掃除の仕方に対して、昨日はイラッとレベル1だったのに、今日はイラッとレベル6というように、同じ出来事に対して、レベルを上げたり下げたりしないということ。どんなに機嫌が悪くても、一度設定したレベルを自分の都合で上げないでください。これをやると、若手保育士は自分が何故怒られているのかわからなくなってしまいます。あなたの機嫌がいいからOK。不機嫌だからNG、にしないでくださいね。

そしてもう一つ、現在設定している数値を可能であれば下げる努力をしてみませんか?私も若手保育士の時代は、一生懸命保育していても、間違ってしまうことや十分でないことがたくさんありました。私は先輩保育士に恵まれており、努力を認めてもらい応援してもらったため、たくさんのことを学ぶことができました。もし先輩保育士にダメ出しばかりされていたら、仕事をするのが辛くなっていたかもしれません。子どもの保育をするにも、若手の保育士を育てるのも大切なのは「受容する」ことなのではないかと思うのです。受容してもらえる環境は、安心できる。自分を受け止めてもらえる安心感があれば、頑張れるんですよね。素敵な先輩に恵まれた保育士は、将来的に素敵な先輩へと成長していくのではないでしょうか。

終わりに・・・若手保育士を育てる気持ちを忘れずに

保育士は一人で保育をしているわけではありません。たとえ一人担任であっても、園全体の支えがあって保育が成り立っているのだと思うのです。私が先輩保育士に育ててもらったように、ベテラン保育士も若かりし頃は、先輩保育士にサポートしてもらっているはずなのです。保育士を育てるのは保育士だと思いませんか?ベテラン保育士にはベテラン保育士の、若手保育士には若手保育士の役割があります。私に今、子どもたちと全力で鬼ごっこをしろと言われても、かなりきついです。でもそれを、若手保育士さんは難なくやってくれるのです。お互い持ちつ持たれつ、得意分野で子どもたちを育てていける保育士集団でありたいですね。


筆者プロフィール

野村恵里( colorful comunications代表)
現場経験20年の元公立保育園保育士。保育士研修や教員研修などで、感情コントロール方法(アンガーマネジメント)について積極的に講演を実施。保育士の折れない心創りをサポートし、保育&子育ての現場をHappy&colorfulにするため活動を行っている。
保育士養成校の専任講師として、保護者支援のためのコミュニケーション法について講義も務める。

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