増加中!外国にルーツを持つ子ども・保護者とのコミュニケーション術
- 保育士お役立ち情報
- 2019/04/11
日本に住む外国人の幼児は、今や10万人以上。保育園でも外国籍の子供たちが増えてきています。今回は、外国にルーツを持つ子ども・保護者とコミュニケーションをとる方法について紹介します。

外国ルーツの子どもの保育、困ったことは?
以前、私の担当したクラスには中国人の子が二人いました。どちらも日本語は全く話せません。さらに一人の子は、入園して1週間経っても玄関でずっと泣いていて、経験のない私は途方に暮れました。
スマホで中国語翻訳をして聴かせたり、保護者と密に連絡を取ったりしながら、色々と試行錯誤して、少しずつ信頼関係を築いていきました。
皆さんもそれぞれ工夫して接していると思います。
ある研究機関の調査によると保育士が困っているポイントは、主に二つのようです。
―外国ルーツの子の保育で困ったこと―
1. 言葉の問題
・日本語ができない
・寡黙になり、コミュニケーションがまったくとれない
・絵本を読んでも内容が伝わりにくく、集中できない
2. 文化の違い
・豚肉を食べないなど、宗教的な制限がある
・日本食になじめない
・裸足を嫌がり、靴下を履きたがる
皆さんも覚えがあるのではないでしょうか。なかでも、「言葉の問題」は大きいですね。ただ、ご存知のように、子どもの吸収はとても早く、三か月もすると、少しずつ日本語を覚え始めてきます。発話のない子でも、こちらの指示を理解できるようになります。
食文化に関しても、いわゆる「集団の力」なのか、食べられなかった納豆を突然食べだしたりと子供たちの適応力には本当に驚かされます。子どもの姿に感動するのは、そういう時ですね。
外国ルーツの子どもとの接し方
外国ルーツの子どもと接する際に、気をつけたいことは何でしょうか。私の経験と前述の調査結果から、効果的なコミュニケーション術をいくつかご紹介します。
・笑顔で毎日声がけをする。
・手をつないだり、スキンシップを心がける。
・「あなたの気持ちを理解したい」という姿勢を持ち続ける。
・感情の絵カード、イラストなどを用いてやり取りする。
・他の園児たちにも「助けてあげてほしい」と伝える。
以上のコミュニケーションを根気よく続けることで、少しずつ心を開いてくれて、笑顔やうなずき等の反応が出てきます。
これらは、お気づきの通り、日本人の子との向き合い方と変わりませんね。特に、発達に課題のある子に向き合う際は同じようにすると思います。
コミュニケーションで重要なのは、「子どもの心細さ、その場になじみたいという気持ちに一生懸命寄り添うこと」です。そうすることで、必ず効果が出てくると思います。
日本語のできない保護者とのコミュニケーション術
保育士が現場で一番苦労するのは、保護者とのコミュニケーションではないでしょうか。保護者も日本語ができない場合が多く、子どもはどんどんできるようになるのに、保護者はというと会話にならないこともあります。
いくつか効果的なコミュニケーション方法を紹介しますので、参考にしてください。
・ゆっくり、はっきりと話す
ゆっくりはっきりと、短い文で話すと効果的です。特に保護者にお願いしたい場合、曖昧な言い方はやめましょう。
「〜してください」「〜できません」「〜しないでください」など言い切る方が伝わります。
よくない例: 「保護者会に参加していただけるとありがたいです」
伝わりやすい例:「保護者会に参加してください」
・日本語ができる方の保護者を窓口にする
保護者の片方が日本人だったり、日本に長く住んでいる場合もあります。その場合、そちらの保護者を頼って、伝えるという方法もあります。
私の担任した子の場合、お父さんが日本語が流暢でしたので、重要な連絡事項などの窓口になってもらいました。
・実物を使ったり、ジェスチャーで伝える
例えば、持ち物について伝える際には、実物を見せる、絵を描いて示す、ジェスチャーをつけるなどすると効果的です。
・連絡帳やお便りは工夫する
読み書きができない方も多いので、伝わっているか必ず確認しましょう。連絡帳の読んでほしい箇所には下線を引いたり、別の色を使ったりすると効果的です。
外国にルーツを持つ子ども・保護者は、初めてのことばかりで不安がいっぱいです。保育士だからできる、気持ちに寄り添ったきめ細かい保育、子育て支援を目指したいですね。
ライタープロフィール
玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。
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