同僚は発達障害かも?と思ったら2〜シチュエーション別対処法(ADHD編)〜

前回は、発達障害やADHDの理解のポイントと、解決方法を見つけるための3ステップ、診断名よりも、実際に困っていることへの対処を考える事が大切ということをお伝えしました。

今回は、ADHDの特徴をふまえたうえで、お困りのシチュエーションごとに、対策例を見ていきます。
(特徴についてはこちらで振り返ってください 同僚は発達障害かも?と思ったら1〜理解と連携のコツ(ADHD編)〜
ADHDとひとくくりに言っても、実際に本人が抱えている課題や現場で困っていることは様々です。色々試してみて、上手く言った方法を継続したり、改良したりしていってください。
※ご自身に傾向があるという方も、参考になると思いますので、合うものがあれば、是非お試しください。

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シチュエーション別対処法

叱られると思うと、言い訳をしたり、事情を話してくれなくなったりする場合があります。どの場合も、本人も困っているという前提で、話しやすい雰囲気の中、働きかけてみてください。


目次
(1) 物をなくす
(2) 遅刻が多い・寝坊する
(3) 提出期限を守れない
(4) 指示を忘れる、メモしない、してもメモをなくす
(5) 優先順位が分からない、大切なことを聞き逃す
(6) ケアレスミスが多い、同じミスを繰り返す
(7) 気が散りやすく、作業が進まない
(8) 社会人として考えられない言い訳を連発する
(9) 失言が多い


(1) 物をなくす

本人からすると、「いつの間にか、どこかにいってしまって困った」という状態です。

・園内で使うものは持ち帰らせない。
・備品類は物の置き場を決め、作業ごとに一度戻すようにしてもらう。
・書類は分けず、同じ場所にまとめておく。

意外かもしれませんが、ADHD傾向がある場合は、書類は細かく分けて整理しないことをお勧めします。不注意の傾向があると、細かく分けても、どこに分けたのか分からなくなり、最悪の場合、なくしてしまうからです。探し出すのに時間は多少かかったとしても、同じ場所に入れるようにすれば、そこからなくなることはありません。


(2) 遅刻が多い・寝坊する

園長や主任など、管理職・上司にあたる立場の人に個別面談などで対応してもらうのが基本です。

・まず、体調面の不調や出勤時に困難なこと(電車に乗ることが苦痛、パニックが起こるなど)が起こっていないか、本人の事情を聞く。病気が疑われれば受診を促す。
・実際の朝の過ごし方、準備の時間配分などを聞き取り、本人にできそうな工夫を提案する。
・実際と改善案のタイムテーブルを作り、本人に自分の行動を把握してもらい、どこを変更すれば上手くいくか確認する。

ADHDの症状なのか、二次障害なのか、また別の病気の影響なのか、確認することも大切です。


(3) 提出期限を守れない

本人に全く悪気はなく、いつも「あれ、早くやらなくちゃ!」と思っているのですが、先延ばしにしがちです。

・なるべくその場、その日のうちに提出してもらう。
・上司側から定期的に「今どこまで進んでいるか」を確認する。
・持ってきているのに、出し忘れる場合もあるので、確認する。
・帰宅後に気づけるようスマホのアラームを設定してもらう。

期限を長くとってもぎりぎりの提出になることが多いでしょう。なるべく、その場で実行、提出してもらうようにしましょう。


(4) 指示を忘れる、メモしない、してもメモをなくす

指示を聞いてはいたのに、必要なタイミングで記憶が取り出せない状態です。

・一度にたくさん伝えない。
・メモの必要がある場合は、するよう伝え、メモする時間を取る。
・見失わない大きいサイズのメモ帳やノートを使ってもらう。
・スマホのメモ帳や、アラーム機能、スケジュールアプリを活用。
・一度紙にメモしたものを、忘れないうちにスマホで写真を撮る。
・大きな付箋にメモして、目に入りやすいところに貼っておく。
・口頭連絡とあわせて、カレンダーや日報などに、付箋をタスクごとに貼っておき、終わったら捨てていく。

聞いたことを覚えておいて、適切なタイミング思い出すこと、その場でメモすること、そのメモをわかる場所に持ち続けること、必要な時に取り出すことは、どれも不注意の傾向があると難しいことです。必要に応じて声掛けをして、思い出せるようにしてみましょう。

情報はスマホやタブレットに集約するのがお勧めなのですが、保育中に操作することは難しいですよね。まず、紙や付箋にメモして、休憩時間やクラスを離れられるタイミングで、さっと写真に撮っておくように勧めてみるとよいでしょう。スマホは無くしても鳴らせば見つかるので、とても便利です。ただし、個人情報の扱いには気を付けてください。


(5) 優先順位が分からない、大切なことを聞き逃す

たくさんの情報を整理することが難しい状態です。

・全体的なスケジュールを伝えた後、最初にやることを伝える。
・視覚情報(メモ、プリント、メール、写真など)を追加して伝える。
・次の作業に移ってほしい時に声をかける。

話が長くなると、要点を聞き取ることが難しいことがあります。
まず、何をやってほしいか念を押しておくと、優先順位の取り違えを防ぐことができます。次の作業に移ってほしい時にも声をかけてみましょう。


(6) ケアレスミスが多い、同じミスを繰り返す

障害の特性上、どんなに本人が努力してもミスは起こり得ます

・ケアレスミスが許されない業務は割り当てない。
・ペアの先生とダブルチェック体制にする。
・主に実行係になってもらい、確認は別の先生が担当する。

ミスが重大な事態になる業務は、あえて割り当てないということも、お互いのため、そして何よりも園児達のためには大切です。ミスが起こっても周囲がフォロー可能か、大きな問題につながらないような業務を任せましょう。


(7) 気が散りやすく、作業が進まない

マルチタスクは処理が難しいです。途中で声をかけられたり、子ども達を見ないといけなかったりするなど、他の仕事が発生すると作業効率が落ちます。

・何か作業を任せる時は、空きクラスか事務スペースなど静かな場所で。
・保育と作業を同時に行わせない。

例えば、「お昼寝の様子を見ながら何か他の作業をする」というような両立はとても苦手です。効率的に作業を進めたいとは思いますが、同時進行ではかえってどちらも時間がかかってしまうでしょう。「子どもたちを見てもらい、自分は別室で事務作業をする」など、分業するとスムーズにいきやすいです。


(8) 社会人として考えられない言い訳を連発する

衝動的に事実と異なることが口から出てしまうことがあります。本人も言い訳をしたいわけではなく、無意識の防衛反応です。

・度重なる叱責により、怒られないための理由を作っている場合もあるので、責められていると感じないように話す。
・実は本当に起こっていることの場合もあるので、事情を聞き、対処を一緒に考える。

幼いころからの度重なる叱責により、こういったことが起こります。ただ、こうなると、問題解決に結びつきませんから、なるべく優しい雰囲気で事情を聞いてみてください。また、「そんなこと、あり得ないでしょ…」と思えることでも、実際に起こっている場合もあるので、「そんなことがあったのね。それは大変だったね。」と、共感し、否定をしないように気を付けてみましょう。困っていることを相談してもらえるような関係性の構築も大切です。


(9)失言が多い

状況を改善しなければと焦り、衝動的に、言わなくてもいいことや、誤解を生むような言い方をして、裏目に出てしまうことがあります。

・保護者や対外的に何かを説明する場合には、事前にどう伝えるか文言、定型文を決めておく。
・決められていないこと、把握していないことを聞かれたときは、園長や上司を呼ぶように決めておく。
・分からないことは、「確認してお伝えします」と伝えるようにしてもらう。

失言の頻度や内容にもよりますが、「こういう風に伝えると上手くいきやすいですよ」という、望ましい例を教えておくと、予防することができます。事前にマニュアル化、練習をして心の準備をしておくことで、衝動的に発言することを避けることができます。また、「無理に何か言おうしなくても大丈夫」ということも伝えておくと、慌てずに済むでしょう。
あまりにも失言が多いようであれば、一人で対応をさせないようにすることも必要になってくるでしょう。


誰にとっても働きやすい職場を目指す

いかがでしたか?
今困っていることの解決のヒントが得られたでしょうか。
上司でないと対応できない案もありますので、上司の方にも、こちらのコラムをご紹介いただけるとよろしいかもしれません。

様々なシチュエーションを見てきましたが、これらのシチュエーションが見られる場合は、かならずADHDということではありません。
他の発達障害でも見られることもありますし、ストレスによる二次障害(うつ病適応障害など)の影響で起こることもあります。
また、レッテル貼り決めつけ差別はあってはならないことですので、そういったことが園内に起こらないよう重々お気をつけください。

大切なのは、園の中でスムーズに行かなくなっていること、お互いに困っていることを解決していけるように、試行錯誤し、誰にとっても働きやすい職場にしていくことです。

今回は主にADHDの傾向をもつ場合の対処方法についてお伝えしてきました。
次回以降、ASD(自閉スペクトラム、アスペルガー症候群)のかたについても、理解のポイントと連携するうえでのコツについてお伝えしていきます。
★次の記事はこちら
同僚は発達障害かも?と思ったら3〜理解と連携のコツ(ASD編)〜


≪心理カウンセラープロフィール≫

松本 いずみ

公認心理師。明治学院大学大学院心理学専攻修士課程修了。ストレスチェック実施者研修修了。スクールカウンセラーとして都内中高で12年間従事するかたわら、メンタルヘルスサイトにて一般向けに心理学コラムの執筆とメールカウンセリングを担当。プライベートでは0歳と7歳の2児の母。最近は「あつまれどうぶつの森」を家族で楽しんでいます。

参考

佐藤 恵美 もし部下が発達障害だったら

榊原洋一・佐藤曉 発達障害のある子のサポートブック

柘植雅義ら 中学・高校におけるLD・ADHD・高機能自閉症等の指導

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