保育園で必要なリスクマネジメントとは?事故が起きやすい事例も紹介!

保育園での事故を防ぐために、リスクマネジメントの方法について紹介します。

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リスクマネジメントとは?

危険予測をして起きないよう管理すること!

保育園でも「リスクマネジメント」の考え方が普及してきています。リスクマネジメントとは、「危機管理」のことを指します。
詳しくいうと、「事故は、どこでも起こりうる」として危険な状況を予測し、それが起きないように常日頃より管理することです。

重大事故が起きるのを防げる場合も!

リスクマネジメントの日々の実践により、重大な事故が起きるのを防ぐことができます。更に、万が一事故が起きた場合にもリスクマネジメントの実践には意味があります。 例えば、保育園で大きな事故が起きたとします。
まずそこで問題になるのは、園がきちんとリスクマネジメントを行っていたかどうかです。常日頃から対策をしてリスクマネジメントを実践していれば、説明責任を果たすことができます。

似た言葉で「クライシスマネジメント」がありますが、これはすでに起こってしまった事故の損害を最小限にする方策です。「事後危機対応」を意味しています。

リスクマネジメントの進め方を紹介!

それでは、保育園ではどのようにリスクマネジメントを進めていけばいいのでしょうか。
保育園では、一般的に、主に以下の3つでリスクマネジメントを進めていきます。

マニュアルの整備!

ほとんどの園で実施していることですが、マニュアル整備がまずは基本です。緊急時の役割分担やSIDSの対応などを図式化し、まとめておきます。保育室の壁に一部を貼っておくのもいいでしょう。
一年に一度は内容を見直すことをおすすめします。

「ヒヤリハット」について書く!

ヒヤリハットは「インシデントデータ」ともいい、事故が起きたことを書くのではなく、それに至らない事前の「ヒヤリ」「ハッ」としたことを記入します。 ただ漫然と書くのでなく、一度内容をデータ化して、特徴や傾向を確認してみるといいでしょう。

チェックリストを作る!

チェックリストには、主に記録と点検二つの目的があります。記録としては、午睡チェックやアレルギーについて記入していきます。
点検としては、園庭の遊具の劣化や、室内の保育環境のチェックに使います。

保育園で行うリスクマネジメントのポイントを紹介!

リスクマネジメントを行ううえで、以下のような視点がポイントになります。

@ 事故やケガ、トラブルをデータにして振り返る。

リスクマネジメントの基本として、データ化があります。保育園では常識となっていますが、子どもの事故やケガの記録は必ず残しておきます。そして、それをただ残しておくのではなく、エクセルなどの表計算ソフトデータにして比較していきましょう。この1年間と、過去3年間の記録を入れていくといいでしょう。
データが積み重なることにより、近年の傾向や特徴が見えてきて、色々な意味を見つけることができます。
同様に「ヒヤリハット」もデータ化して振り返るといいでしょう。

A 職員の意識を高め、園全体で

リスクマネジメントの大敵は「慣れ」です。日々の保育の中で危機意識が薄くなり、「このぐらい大丈夫」という考えになりがちです。ただ、そのような時にこそちょっと目を離した隙に事故は起こるものです。
職員の意識が緩まぬように、園全体でリスクマネジメントを進めていくことが必要です。

B 子どもの主体性とのバランスが大事

リスクマネジメントを進めていく中で、子どもに「危ないからダメ」と、何でも禁止にしてしまうことがあります。
ただ、これは子どもの主体性や発達を妨げることにつながる場合もあります。
難しいですが、保育士としては、リスクマネジメントと子どもの主体性、どちらも尊重して、上手にバランスを取った判断をしていきたいところです。

事故が起きやすい事例と対策!

保育園ではどのようなシチュエーションにリスクがあるのでしょうか。
事故が起きやすい事例と対策について、ここでは主なものを紹介します。

出入り口

・手指を挟まないようなストッパーがかかっているかを確認する。
・ドアの場合、向こう側に子どもがいないことを確かめて開閉する。
・不審者に備えて施錠の確認をする。

家具

・家具の上に物を置いていないか、引出しは閉まっているかを確認する。
・角にぶつかってケガをしないよう、ガードテープなどを貼る。
・転倒防止措置を行う。

壁面

・掲示物の落下の可能性を確認する。
・壁面に釘などが残っていないかを確認する。
・コンセントに物を差し込む心配がないように、コンセントカバーをつける。

沐浴室・トイレ

・シャワー温度は、まず保育士が必ず確認する。
・水はねにより床が滑らないか確認する。
・浴槽、オムツ交換台を使用している時は、子どもから手を離さない。

遊具

・遊具の扱い方について、保育士間で確認して、必ず共通認識を持つ。
・定期的に点検・チェックし、使用前後にも数や状態を確認する。
・常に大人が側について子どもの動きを見守り、危険を未然に防ぐ。
・コーナー遊びでは、死角を作らないように設定をする。

熱中症

・子どもに帽子は必ず着用させる。
・こまめな水分補給を徹底する。
・できるだけ日陰を選び、遊ぶ時間は長すぎないように制限する。

誤飲

・乳児クラスは特に、誤飲に繋がるおもちゃは置かない。
・食事の提供サイズは、調理スタッフとしっかり相談しておく。

窒息

・睡眠時には深く布団をかけず、隣の子とも適度な距離をとる。
・うつぶせ寝を避け、定期的にチェックする。

食物アレルギー

・二重チェックするなど、食事の提供ルールを徹底する。
・アレルギーのある子が食べる可能性があるので、食事の食べこぼしは放置しない。
・年齢によっては、アレルギー対応として補助の職員をつける。

プール

・水あそび中は子どもから目を離さないよう、職員が必ずプールに入る。
・残留塩素濃度、水深、水温、外気温は適当かを確認し、日誌にも記録する。
・プール終了後には必ず水をぬく。
・塩素などの薬品は、子どもの手の届かないところで管理する。

まとめ

保育園、幼稚園で2020年に起きた事故は、前年より287件増えて、過去最多1,586件でした。そのうち5人が死亡しているそうです。
リスクマネジメントはすぐに成果が出るものではありませんが、確実に事故の可能性を減らしていけます。
大切な子どもの命を守るために、リスクマネジメントを日々積み重ねていきましょう。

ライタープロフィール

玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。

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