複数担任の保育士同士、お互いの保育観が合わない場合はどうしたら良い?

多様な人が働く「保育園」という職場。女性男性、昭和に平成生まれ。正規職員保育士に非常勤保育士。看護師に調理師、栄養士。立場も専門性も違う人たちが勤務しているのですから、考えることも見えてくるものも違って当たり前です。

現在は園長として勤務している私ですが、一般保育士だった時、どうしても考えが違う同僚保育士がいました。今ではその頃より経験を積んだこともあり、自分とは考えが合わない同僚保育士がいてもどう接していけばよいのか、考えを尊重しつつお互いに丁度よい距離感を保つ術は分かるようになってきました。

保育士の離職原因の理由の一つに「職場の人間関係」が挙げられています。それは合わない同僚保育士との関わり方は距離感をどう保つかだと思っています。現在悩んでいらっしゃる保育士の皆様に少しでも私の経験がお役に立てれば幸いです。

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複数担任のメリット・デメリット

保育園では乳児幼児にかかわらずほとんどの園では「複数担任制」を取っています。受け入れ人数によりますが、歳児別のクラスでは配置基準に合わせ2人から数名の保育士が担任としてチーム保育を行います。

園の方針にもよりますが、複数担任のうち1人の保育士が休みを取得しているなら、もう1人の保育士は出勤し担任として子どもたちの保育にあたります。子どもたちにとっては慣れた担任保育士が毎日必ず接してくれるので、とても安心して過ごすことができるメリットがあります。

また、保育士同士にもメリットがあります。一緒に複数担任を務める同僚保育士がどのように子供たちと関わり合うかを実際に見て聞くことが出来るため、知っている手遊びや描画法、子どもたちへの言葉がけの仕方などをお互いに学び合うことができます。

他には行政提出の保育書類作成や行事の作り物、保護者対応にいたるまで複数担任同士で手分けして行えますし、どうしても代わってほしい時は複数担任同士でシフトや休暇を調整することで子どもたちの保育に支障が出ないようにすることもできます。

上記は複数担任同士の人間関係が良ければ成立するのですが、人間関係があまりよくなければ、「あの先生の保育は危なっかしい」「あの先生の子どもたちへの言葉がけは少し変」などマイナスに捉えがちになってしまいます。また、何よりも複数担任同士の言葉がけや遊ばせ方が違ってくると、子どもたちが混乱してしまいます。

保育以外の書類作成、シフトも「いつも書類作成は私ばっかりやらされる」とか「いつも私ばっかりシフトを代わってあげている」と不満に繋がってしまうこともあります。せっかく同じ子どもたちを保育する複数担任同士であるのにも関わらず、人間関係が良くないと保育でも保育以外のところでもゆがみが生じてしまう懸念があります。

合わない保育士同士でもお互いに認め合うことが必要

複数担任を組む保育士同士の場合、年齢や経験が違うことも多々あります。自分は「こうしたい!こんなことをやりたい!」と考えていてもつい別の複数担任の保育士が否定的だと、そのアイディアを実現させることを躊躇してしまいます。

私がかつてまだ一般保育士だった頃、10年以上先輩の保育士と2人で1歳児クラスの複数担任を持ったことがありました。先輩保育士はとにかく「安全を重要視していて危なっかしい保育は行わない保育士」でした。私はというと、先輩保育士とは真逆で「安全を考えつつ、ケガをしないような元気いっぱいの保育をする保育士」でした。

そんな私の保育を見ながら先輩保育士は「もっと近くで子どもを見ないとケガをするわよ!」「安全が確立された場所以外には行かせない方がいいわよ!」とアドバイスをくださっていました。その頃の私はどうして先輩保育士がこんなに安全ばかりを考えて子どもたちの冒険心や好奇心を育む保育をしないのか、ストレスに近い感情を持っていました。

先輩保育士と一緒に保育をする時は、自分が注意されないことを優先した保育を行うようになり、本来自分がやりたい保育とは違う保育になっていました。そんな自分の保育が嫌になり、先輩保育士の保育を見るのも嫌になり、日々先輩保育士との関係も少しずつ悪化していきました。ストレスの溜まった私の感情が先輩保育士に伝わっていたのかもしれません。

書類作成を手分けする時も、シフトを変わってもらう時も最低限な会話で済ませ、保育に関する話以外はほとんど無い関係になっていました。しかしある日、そんな私と先輩保育士の関係を見かねた園長から「あなた、自分の保育がすべて正しいと思ってる?」と言われました。

もちろん自分の保育がすべて正しいとは思っていませんでしたが、「自分がやりたいと思っている保育が行えていない」と園長に対して反抗的な態度を取ってしまいました。すると、園長は「あなたは相手の気持ちを考えて保育してる?子どもにだってやりたい時もあればやりたくない時もある。まず自分がどうしたいではなくて子どもたちは何をしたいかを考えて保育しなさい。」と忠告をして下さいました。

その言葉を聞いて、私はハッとしました。子どもたちとの信頼関係がありましたし、保育中に特に大きな事故を起こしたこともなければ書類に関しても指摘を受けたことはありませんでしたので、注意を受けたことに対して落ち込んでしまいました。また、この出来事を通して「私は自分勝手な保育をしていたのかもしれない。相手の気持ちを考えた保育とはどんな保育なのだろう」と自分の保育を冷静に分析し、考えるきっかけになりました。

その後、先輩保育士の保育を改めて観察していくと、「必ず子どもたちの思いを聞いてその気持ちを受け止めていること」に気づきました。安全を重要視した保育ばかりしているのではなく、月齢と発達に応じた保育を行うためにできることと、子どもにとってまだ難しいことを分けて考えていることにも気付かされました。

園長から忠告を受けるまで先輩保育士の保育が好きではありませんでしたが、それからはとても子どもたちの立場になって考え、常に見守っている先輩保育士の保育が大好きになりました。「私もこんな保育を実践したい。」、そんな気持ちが湧き出てきたのです。また、これを通して先輩保育士との関係も良い方向へと変化していきました。

まとめ

複数担任というチームで保育を実践していく上で、どうしても人間関係の良し悪しが保育に関係していることは事実です。人同士なので相性があるかもしれません。

しかし、人には長所もあれば短所も必ずあります。一方から見ると厳しい保育士に見えても、別方面から見ると冷静に物事を判断する力がある保育士かもしれません。また優しくて評判の保育士でも、別の見方をすればきちんと指導ができない保育士かもしれません。

共通項は同じ歳児別クラスの複数担任という「チームメイト」ということだけです。チームはお互いを補填しあって成り立つものです。現在複数担任保育士同士の人間関係で悩んでいる方がいらしたら、どうか相手の長所を探してみてください。

今まで気づかなかった意外な一面が見えるかもしれません。それでも複数担任保育士とうまくいかない、一緒に保育することが難しいと感じているなら園長主任に相談してください。よい解決策が見つかるかもしれません。皆さん一人ひとり、保育が楽しめて、お互いの良い所を認め合える関係性になることを願っています。

ライタープロフィール

白川 佳代さん


保育士歴10年以上。自身の子育て経験を生かし、新卒保育士や子育てに悩む保護者の相談業務にも多く携わる。現在は認可保育園の園長。また、当サイトにコラムを多数執筆中。

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