【保育士】パワーハラスメントを避けつつ後輩を指導するためには

「後輩にしっかり指導をしたいけれど、パワハラだと思われたらどうしよう…」
「『先輩、それパワハラですよ?』と冗談っぽく言われて、ドキッとした…」
そんな風に、自分がパワハラをしていないか、心配になることがありませんか?

パワハラは実際に起きた時の対処だけでなく、予防していくことが大切です。
管理職、主任、リーダーの方はもちろん、後輩をもつ方はどなたでもお読みいただきたいと思います。

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保育現場におけるハラスメント

まず、どんなことがハラスメントになり得るのか、知っておくことが大切です。
保育現場におけるハラスメントには、次のようなものがあります。

今回は中でも、パワーハラスメントについて見ていきましょう。

パワーハラスメントの定義

厚生労働省ではパワーハラスメントの定義を次のようにまとめています。

(厚生労働省 雇用環境・均等局「パワーハラスメントの定義について」参考)

パワハラ加害者は、加害意識がないことがほとんど

このようにパワハラの定義を見ると、誰もが「こんなこと、自分は絶対しない」と思うことでしょう。しかし、実際にパワハラで何らかの指導を受けた人のほとんどが、加害した意識がないと言います。ですから、「自分は絶対しない」と思っている人も注意が必要です。

また、保育園という組織では、この3要素は容易に満たされやすいものです。あなたは圧力をかけたつもりが全くなくても、後輩の側は心身の苦痛を感じているということがあり得るのです。それでは、それぞれの要素について詳しく見ていきましょう。

要素1 優越的な関係にもとづいて

優越的な関係というと、【園長、主任、リーダー】などと【それ以外の保育士】の関係を思い描くかもしれません。しかし、あなたに後輩がいれば、それは優越的な立場となります。現在の園が1年目でも、転職・復職して他の保育士よりも経験がある場合もなり得ます。つまり、要素1は、【新人以外のすべての保育士】と【新人】との関係が当てはまる要件なのです。

要素2 業務の適正な範囲を越えて

こちらは、どこまでが適正と言えるか、微妙だと思う人もいるかもしれませんね。
例えば、
・業務上、明らかに必要性のない行為
・業務の目的を大きく逸脱した行為
・業務を遂行するための手段として不適当な行為
・当該行為の回数、行為者の数など、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を越える行為
などが厚生労働省の資料では例として挙げられています。
長く同じ園で努めていると、組織の風土もあり、適正なのかそうでないのか、客観的に見られなくなってしまうことがあります。そのため、職場外の人に、「こういうことがあったんだけど…」と意見をもらうと良いでしょう。

要素3 身体的もしくは精神的な苦痛を与える

身体的な苦痛は判断がつきやすいですね。ただ、ケガをさせていなければ良いのかというと、そうではありません。冗談や励ましで肩をたたいたつもりでも、相手にとっては「傷つき」や「恐怖」を与えられたと感じることもあるのです。
また、精神的暴力には次のようなことが該当します。
・著しい暴言を吐くなどにより、人格を否定する行為
・何度も大声で怒鳴る、厳しい叱責を執拗に繰り返す等により、恐怖を感じさせる行為
・長期にわたる無視や能力に見合わない仕事の付与等により、就業意欲を低下させる行為

人格を否定する言葉には、例えば次のようなものが含まれます。

ここまであからさまではなくても、近いことを言ってしまっていることがあるかもしれません。人格を否定するような言葉がけをしていないか、気を付けましょう。

能力に見合わない仕事には、仕事をさせ過ぎる場合だけではなく、できることをさせなかったり、簡単な作業ばかりさせたりする(雑用ばかりさせる、園児と関わらせてもらえない など)場合も含まれます。

なぜ予防が大切なのか

ただでさえ、保育士が不足している状況です。パワハラによって短期間でやめていく職員が出てくるというのは、人手不足となる現場も大変ですし、採用コストもかかるため経営面でも大問題ですよね。職員の定着率を上げるためにも、予防はとても大切なことなのです。
先ほどからお伝えしているように、誰もが加害者になり得ますから、加害者が生まれにくい職場環境づくりをしていくことが大変重要です。

では、どうすれば予防ができるのでしょう?
次回は、具体的なコミュニケーションの例を見ながら考えていきましょう。


≪心理カウンセラープロフィール≫

松本 いずみ
公認心理師。明治学院大学大学院心理学専攻修士課程修了。ストレスチェック実施者研修修了。スクールカウンセラーとして都内中高で12年間従事するかたわら、メンタルヘルスサイトにて一般向けに心理学コラムの執筆とメールカウンセリングを担当。プライベートでは0歳と7歳の2児の母。最近は「あつまれどうぶつの森」を家族で楽しんでいます。

参考・引用

厚生労働省 雇用環境・均等局「パワーハラスメントの定義について」資料4
https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/000366276.pdf
石井遼介 心理的安全性のつくりかた「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える 日本能率協会マネジメントセンター
関山浩司 ハラスメントを予防・解決する 保育の職場づくり 中央法規
湯澤悟 御社の「パワハラ問題すべて解決します」あっと驚く!5つの最強予防戦略

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