世界が注目!イタリア発祥「レッジョ・エミリア・アプローチ」とは?

最近、耳にする「レッジョ・エミリア」の幼児教育。イタリア発祥の教育実践法なのですが、導入する保育園も出てきています。そのユニークな内容について紹介します。

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「レッジョ・エミリア・アプローチ」とは?


レッジョ・エミリア・アプローチは、第二次世界大戦後間もない時期に、イタリアのレッジョ・エミリアという地で生まれた幼児教育の実践法です。
私が、この「レッジョ・エミリア」に出会ったのは、美術館の展示でした。『驚くべき学びの世界』として紹介されたレッジョ・エミリアの実践の数々はとても魅力的で、ずっと心に残っていました。
最近、日本でも「レッジョ・エミリア・アプローチ」を取り入れた保育園も現れてきており、幼児教育に関わる人たちの間で、関心が高まってきています。

まず確認したいのが「レッジョ・エミリア・メソッド」ではなく「レッジョ・エミリア・アプローチ」となっている点です。それはなぜかというと、実は、レッジョ・エミリアは確立された「メソッド」ではないからです。
レッジョ・エミリア・アプローチとは、簡単に言うと、基本的な発想や原理、または実践のための「ヒント」だと考えるとわかりやすいようです。
ですので、ネットでいくら探しても、例えばモンテッソーリなどのように、わかりやすいメソッドは出てきませんし、レッジョ・エミリアを実施するための資格もありません。
その目的は、一言でいうと、子どもの様々な可能性を伸ばしていくことにあります。
ご存知のように、子ども一人ひとりの感性、能力、個性は違いますよね。それらを尊重し、伸ばしていくことを目指しています。レッジョ・エミリア・アプローチの根本には、そうした揺るがぬ考え方があります。



「レッジョ・エミリア・アプローチ」には、アトリエがある

レッジョ・エミリア・アプローチの大きな特徴の一つは、「アトリエ」があることです。そこには、子どもたちが自由に使えるような、材料と道具が豊富に揃っています。
また、園の様々な場所に、ミニアトリエと呼ばれる小さな工作スペースも作られています。

さらに、「アトリエリスタ」と呼ばれる芸術の専門家が必ず配置されています。美術の先生が保育園にいるようなイメージでしょうか。
アトリエリスタ(芸術専門家)は、保育士といっしょに子どもの創造的活動を支援し、さまざまな素材を活用したプロジェクトを実践していきます。
ちなみに、「ペダゴジスタ」という、教育専門家もいます。常駐していませんが、定期的に相談しながら保育士を支援します。
ということは、芸術・教育双方の専門家と一緒に活動できるということで、保育士にとっては心強いですね。



子どもたちが主体的に取り組む「プロジェクト活動」とは?

レッジョ・エミリア・アプローチには、「プロジェクト活動」という大きな特徴があります。
プロジェクト活動とは、一つテーマを決めて、数ヶ月から、長い場合は一年間、子どもたち、保育士、さらには保護者が共にそれを掘り下げていく活動を指します。
その時の単位は、小グループであることが多いようで、小グループで、主体的に話し合い、学びを深めて、プロジェクトを進めていきます

保育士は、実践を重んじ、子どもたちは実践から多くを学ぶという信念を持っています。プロジェクト活動はその大きな機会となります。
そのために、保育士は、活動中の手助けではなく事前の準備をすることが重要。プロジェクト活動が子どもたちの主体的な学びになるように、保育士は準備を怠らないようにします。


子どもと大人は対等な関係

レッジョ・エミリア・アプローチでは、「子どもに大人が教える」よりも、「子どもも大人も対等」であることが大切と考えています。そのため、プロジェクト活動を行うときに、保育士は指示を出すのではなく、その話し合いに対等な仲間として参加していきます。つまり、子どもと大人が一緒になって一つのプロジェクトを進めていくのです。大人と子どもが同じ目線で活動することで、子どもの自主性や協調性を育んでいきます。



ドキュメンテーションで記録する

レッジョ・エミリア・アプローチを行うにあたっては、保育士の役割の一つに、ドキュメンテーション(記録文書)というのがあります。毎日の子どもたちの記録を録画、撮影、録音、文書などによって整理してまとめていく作業です。これらは、後でパネルなどにして展示し、子どもはもちろん、来園したすべての人が見られるようにします。業務記録ではなく、各々にフィードバックされることで、次のまなびへとつながり、活かされていきます。



まとめ

子どもたちはプロジェクト活動をやり遂げて、大きく成長するようです。
「レッジョ・エミリア・アプローチ」については、それを行う資格があるわけではありません。日々の保育のヒントになることも多いですから、興味のある方は、更に調べてみることをおすすめします。



ライタープロフィール

玉田 洋さん
保育園運営企業で、子育て雑誌編集長を経験し、その後、都内で保育士として勤務する。現在は「森の保育園」を計画中。


《編集注》
※画像はイメージです。実際のレッジョ・エミリア・アプローチとは関係ありません。

《おすすめ書籍》
ワタリウム美術館 編『子どもたちの100の言葉』
ワタリウム美術館 編『驚くべき学びの世界―レッジョ・エミリアの幼児教育』

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