保育士試験は保育実務と両立しながら独学で合格できる?
- 保育インタビュー
- 2015/07/14
難関と言われる保育士国家試験。独学で合格した人って、どのように学習しているのでしょうか? 今回お話を伺ったのは、「2年以上の実務経験が必要」という段階から7年かけて保育士試験に合格した石川さん。“保育実務を積みながら独学で合格するコツ”や、資格取得後の変化についてお聞きします。
保育士国家試験へのチャレンジ きっかけは仕事のジレンマ
Q.保育士の仕事をしようと思ったきっかけは?
実は私、元々は「子ども嫌い」な性格だったんです(笑)学生時代は「大好きな音楽を仕事にしたい」と思って、専門学校でリトミックや音楽療法を学んでいました。
当時はリトミックが日本でも注目され始めた頃で、幼稚園などの依頼で訪問することがあったのですが、音楽を通して触れ合う子どもたちの笑顔が本当にかわいくて。
次第に音楽を通して子どもと触れ合う仕事がしたい、と思うようになったんです。
卒業後はフリーランスの幼児リトミック講師の道を選びましたが、当時はそれ一本で自立できるほど収入がなく、保育士のパートの仕事も開始。いわゆる“二足のわらじ”生活がスタートしました。
Q.最初は保育士資格をお持ちではなかったのですよね。取得のきっかけは?
資格がないため保育補助でした。7年間勤続した保育園は、パートとはいえ正社員と対等に意見を出し合い、保育改善をしていける風土があったし、人間関係も良くて、とっても楽しかったんです。
ただ、経験を重ねていくうちに、いくら長時間勤務していても、資格がないと一人で子どもを任せられないことにジレンマを感じ始めました。それに、リトミック講師の仕事においても「保育士の資格がある」ことで保護者に安心感を与えられる、育児アドバイスができるなど、相乗効果が期待できると考えました。
独学で苦節7年。5度目の挑戦で合格!
仕事との両立のために、独学を選択
Q.どのような方法で勉強したのですか?
独学です。というのも、私が卒業した専門学校が学校法人ではなかったため、保育士試験を受けるには「2年以上の実務経験」が必要でした。そのため、週に2〜3日は午前中にリトミック講師、それ以外の平日〜土曜はフルタイムで保育補助の仕事を入れてもらい、日曜はボーカル講師の仕事…という生活に。
決まった学習時間が確保できない中でスクールや通信講座を続けるのは無理だと思ったんです。
「独学でもできる範囲で、マイペースに勉強しよう」と。その結果、7年もかかってしまったのですが(笑)
筆記試験の『小児栄養』が難関!
Q.苦労したポイントは?
実技は得意な私にとって、筆記試験は大敵でした!中でも『小児栄養』は数値がどうにも覚えられなくて、5回の挑戦でなんとか受かりました(笑)
Q.どのように克服したのですか?筆記対策のコツは?
最終的には、様々な事業体が主催している試験直前対策の講習会を積極的に活用していました。
1人でやっているとできているつもりになるのですが、意外と抜け漏れがあるし、人から解説してもらって納得した方がよく覚えられると気付いたんです。
専門的に傾向と対策を研究されているので、出やすいポイントなどの最新の情報を得ることができます。費用は1講座2000〜3000円と気軽に受けられる料金なのもありがたかったですね。
実務との両立だからこそ、“実技の練習の場”があってよかった!
Q.実技についてはいかがでしたか?
私は造形(絵を描く)が苦手なので、音楽(ピアノ)と言語(読み聞かせ)を選択しました。 ピアノは得意なので問題なかったのですが、読み聞かせは意外と苦戦しました。ミス=減点で評価がわかりやすいピアノに比べて、読み聞かせは採点が厳しく、不合格者も出やすいんです。
私の場合は勤務先の園長先生にお願いして、実際の3歳クラスで読み聞かせの練習をさせてもらいました。先生方の客観的な意見もいただけたので、しっかり対策になったと思います。“実務をしながら挑戦してよかったこと”の1つですね。
保育士資格を取得すると変わる“給与とやりがい”
Q.実際に国家資格を取得されて、意識や仕事内容に変化はありましたか?
まずは、正式に「保育士として認められること」が大きな喜びでした。正社員で雇用してもらえるので給与も変わるし、クラスを任せられるので仕事の幅が広がります。
ただ、正社員ならではの大変さも感じました。
やはり、担任を持つと責任が増えますし、クラス運営のことを考えたり、書類業務などでタスクが多い。意外に補助の方が子どもと直に接していられるんですよね。
行事への関わり方も「担当者」になるので、企画から実行まで本当に大変でした。でも、やった後の達成感ややりがいも、それだけ大きいと感じています。
資格を取ったあとに見えてきた“将来像”
Q.今後はどのようにお考えですか?
実は今年の春から、東京の保育園から正社員での内定をいただいていたのですが、家庭の事情で一時的に帰省することになってしまいました。 ただ、保育士資格を取得できたので、今後はどの地域でも就業できるという安心感がありますね。
障害児の音楽療法にも興味があるので、リトミック講師の資格を活かしたり、ベビーマッサージのスキルを習得したりと、保育所勤務という枠にとらわれないで、資格とスキルを活かして社会に貢献できる仕事をしていきたいと思っています。
これから保育士試験を目指す方へ「目指せ3回目合格!」
Q.実務を積みながら保育士資格を取得したい方にアドバイスは?
私のように「実務をしながら独学でも7年かけて合格できますよ!」と応援したいところですが、収入、時間など様々な面で苦労も多いのは事実です。できれば、合格科目の有効期限である3年以内の合格を目指してください!
最終的にはとにかく“根気”です。ただの座学にせず実務に反映しながら知識を身に付けられるのは本当にメリットだと思うので、対策講座などを上手く活用しながら、めげないで頑張ってください。
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